このページでは、移動体通信エンジニアの業務工程の中でも 最上流に位置する J2:置局フェーズ について、全体像と具体的な仕事内容を解説します。
置局とは、 「どこに基地局を設置するかを決める工程」 であり、通信品質・工事可否・コストのすべてに影響します。
設計(J3)・施工(J1)より前に行われるため、 プロジェクト全体の成否を左右する重要な役割 を担います。
J2 置局とは何をする工程か
J2では、基地局を設置するために必要な 立地条件・契約条件・制約事項 を整理します。
技術職というよりは、 調整・交渉・判断が中心の上流工程 であり、エンジニアリング思考が求められます。
J2フェーズの全体構成
置局業務は、主に次の流れで進みます。
- J2-01:候補地選定・現地調査
- J2-02:条件整理・オーナー交渉
- J2-03:契約・申請・設計引き渡し
この工程で確定した条件が、 設計(J3)の前提条件 となります。
J2-01 候補地選定・現地調査
まず行うのが、 基地局候補地の選定 と現地調査です。
- エリア課題を満たせる立地か
- 建物構造・屋上利用可否
- 電源・引込・施工可否
▶ 詳細解説: 置局業務の具体例|候補地選定・現地調査の流れ
J2-02 条件整理・オーナー交渉
候補地が決まった後は、 ビルオーナー・地権者との交渉 を行います。
- 賃料・契約条件の調整
- 設置範囲・制限事項の確認
- 工事日程・立会条件の調整
技術理解があると、 無理のない条件設定 ができ、後工程のトラブルを防げます。
▶ 詳細解説: 条件整理・オーナー交渉
J2-03 契約・申請・設計引き渡し
交渉がまとまった後は、 契約・各種申請を行い、 設計フェーズへ引き渡し ます。
- 契約締結・条件確定
- 行政・管理会社への申請
- 設計条件・制約事項の共有
この引き渡しが不十分だと、 設計・施工での手戻り が発生しやすくなります。
▶ 詳細解説: 契約・申請・設計引き渡し
置局の共通作業:進捗管理・社内連携
置局(用地交渉)の仕事は、候補地選定・現地調査(カテゴリ①)や、条件交渉・契約(カテゴリ②)などの“工程”だけで完結しません。 実務では、複数案件を同時に回しながら「進捗を遅らせない」「関係者の抜け漏れを防ぐ」ための 進捗管理・社内連携(共通作業)が、品質とスピードを左右します。
進捗管理でやること(置局の案件管理)
- 案件ステータス管理:調査→交渉→契約→申請→設計引き渡し…の現在地を可視化
- 期限と優先順位の管理:申請期限・オーナー回答期限・設計着手期限など、ボトルネックを先読み
- 差し戻し・追加対応の管理:図面差し替え/条件変更/設備要件の追加など、発生イベントを整理して潰す
- 関係資料の整備:契約書、合意条件、申請書、現地写真、設置条件(電源/ルート/入館)を揃える
社内連携でやること(設計・施工へつなぐ引き渡し)
- 設計(J3)への引き渡し:設置条件、制約(高さ・屋上使用・電源容量・入館ルール)を整理して共有
- 施工(J1)や工事会社との調整:工期、入館、搬入、施工条件(騒音・夜間・立会)を早期に擦り合わせ
- 申請・インフラ調整(カテゴリ③)との整合:許可・承認の見込みを踏まえ、設計着手や工事日程を調整
- 関係者コミュニケーション:キャリア担当、建設会社、オーナー、管理会社、行政…の“窓口”を明確化
置局でよくあるつまずき(遅延の原因)
- 条件合意はできたが、入館ルールや搬入条件が後出しで判明し工事が止まる
- 申請が通る前提で動き、許可遅延で設計・施工が手戻りになる
- 設計に渡した情報が不足し、追加調査→再交渉でスケジュールが崩れる
置局は「交渉力」が注目されやすい一方で、実は案件管理(進捗・関係者・資料の整備)が強い人ほど、成果が安定します。 次のカテゴリ解説では、工程ごとの実務をさらに具体的に説明していきます。
- ▶ カテゴリ①:候補地選定・現地調査
- ▶ カテゴリ②:折衝・条件交渉・契約
- ▶ カテゴリ③:行政・インフラ申請対応(契約・申請・引き渡し)
J2はどんな人に向いているか
置局フェーズは、以下のような方に向いています。
- 調整・交渉が苦にならない
- 全体を俯瞰して考えるのが得意
- 設計・工事を見据えて判断できる
J2の経験は、 J3(設計)・J8(PM/PMO) へのキャリアアップにも直結します。
置局から広がるキャリアパス
置局は「技術に進めない工程」ではありません。
条件整理・制約理解の経験は、 設計・PMに進むうえで 非常に強い武器 になります。
▶ キャリア解説: 置局から広がるキャリアパスとは?
前後工程とのつながり
J2は、プロジェクトの起点です。
▶ 次工程: J3 無線設計・伝送設計の仕事内容
▶ お仕事マップを見る: 移動体通信エンジニアの仕事内容マップ