障害履歴を設計に活かすとは?再発を防ぐための設計実務
移動体通信ネットワークでは、 どれだけ入念に設計しても
- 通信障害
- 品質劣化
- 一時的なトラブル
が発生することは避けられません。
重要なのは、 発生した障害を「次の設計」にどう活かすか です。
この記事では、J3 設計フェーズにおいて 障害履歴を設計へ反映する考え方と実務 を解説します。
なぜ障害履歴を設計に反映する必要があるのか
障害対応だけで終わってしまうと、
- 同じ場所で同じ障害が起きる
- 似た構成で同様のトラブルが発生する
といった事態が起こりやすくなります。
設計段階で障害履歴を確認することで、
- 再発防止
- 設計品質の底上げ
が可能になります。
設計前に確認すべき障害履歴の種類
設計で参照する障害履歴には、 主に以下の種類があります。
- 通信断・輻輳などの重大障害
- 一部エリアでの品質劣化
- 定期的に発生している軽微な障害
「大きな障害」だけでなく、 繰り返し発生している小さなトラブル にも注目することが重要です。
障害履歴とKPIを組み合わせて考える
障害履歴は、単体で見るよりも KPIと組み合わせて確認することで 設計に活かしやすくなります。
- 障害発生前後のKPI変化
- 特定時間帯・特定セルでの傾向
これにより、
- 一時的な事象か
- 構造的な問題か
を切り分けることができます。
KPIの前提については、
▶ 設計前提条件の整理(KPI・トラフィック・障害履歴)とは?
をあわせて参照すると理解しやすくなります。
無線設計へ反映する代表的なケース
障害履歴から得られた情報は、 無線設計の見直しに活かされます。
- 特定方向での干渉が多い
- セル境界付近での切断が多い
- トラフィック集中による品質劣化
このような場合、
- アンテナ方位・チルトの再検討
- セル構成の見直し
といった設計修正が検討されます。
▶ 無線設計とは?セル設計・アンテナ・パラメータを決める仕事
伝送・ネットワーク設計へ反映するケース
障害原因が無線以外にある場合、
- 回線輻輳
- 冗長構成不足
- ネットワーク経路の偏り
が疑われます。
この場合は、
- 回線帯域の増強
- 冗長構成の追加
- 経路設計の見直し
といった、 伝送・IP設計の修正が行われます。
障害履歴を活かせる設計者の評価
障害履歴を設計に反映できる設計者は、
- 現場・運用を理解している
- 再発防止の視点を持っている
と評価されます。
これは、
- 品質改善(J7)
- PM/PMO(J8)
といった上流工程へ進む際にも 大きな強みになります。
まとめ
障害履歴を設計に活かすことは、 設計品質を高めるうえで欠かせない取り組みです。
単なる「過去のトラブル」として終わらせず、 次に活かす設計判断 につなげることで、 ネットワーク全体の安定性が向上します。
移動体通信エンジニアとして 設計職で一段上を目指す方 にとって、 必ず身につけておきたい考え方と言えるでしょう。