エリア設計・アンテナ設計とは?無線設計エンジニアの中核業務
エリア設計・アンテナ設計とは、 基地局の無線設備について 「どこに、どの方向へ、どのような条件で電波を出すか」 を具体的に決めていく業務です。
無線シミュレーションや設計ツールを使いながら、 カバレッジ・容量・干渉といった観点で エリア全体の電波品質が最適になる構成を検討します。
この業務は、 設計前提条件の整理(KPI・トラフィック・障害履歴) を踏まえたうえで進められます。
前提となる工程: 【J3-①】設計前提条件の整理(KPI・トラフィック・障害履歴)
▶ 移動体通信エンジニアの仕事全体は お仕事マップ(J1〜J9) で整理しています。
移動体通信エンジニアの求人でよく見かける
- 無線設計
- RF設計
- アンテナ設計
これらは、J3(設計)フェーズの中でも エリア設計・アンテナ設計を指しているケースがほとんどです。
この記事では、前工程である 「設計前提条件の整理(KPI・トラフィック・障害履歴)」を踏まえたうえで、 エリア設計・アンテナ設計の具体的な仕事内容を解説します。
エリア設計・アンテナ設計の役割
エリア設計・アンテナ設計は、
- どこに電波を届けるか
- どの方向に、どの強さで飛ばすか
を決める工程です。
基地局を「建てる」前に、 電波の見え方を設計するのがこの業務の本質です。
前提となる情報(カテゴリ①との関係)
エリア設計は、いきなり始めるものではありません。
設計の前段階として、エリアの状態を正しく把握することが重要です。
そのため、まずは以下の記事で解説している 設計前提条件の整理を理解していることが前提となります。
▶ 設計前提条件の整理(KPI・トラフィック・障害履歴)とは?
エリア設計で行う主な作業
エリア設計では、主に次のような検討を行います。
- どの基地局でエリアをカバーするか
- 新設局・既設局の役割分担
- 屋外・屋内(インビル)どちらで対策するか
ここでは、机上で
- 地形
- 建物
- 人口動線
を考慮しながら、 「電波をどう配置するか」を検討します。
アンテナ設計の具体的な検討項目
アンテナ設計では、さらに踏み込んだ検討を行います。
- アンテナ設置高さ
- アンテナ方位角(アジマス)
- チルト角(電気/機械)
- アンテナ種別(指向性・周波数帯)
これらを組み合わせることで、
- 必要な場所に
- 必要な強さで
- 不要な干渉を抑えながら
電波を届ける設計を行います。
無線シミュレーションの活用
多くの現場では、無線シミュレーションツールを使用します。
- 電界強度分布
- SINR
- セル境界
などを可視化し、
- 設計前後でどの程度改善するか
- 別エリアへ悪影響が出ないか
を確認します。
シミュレーション結果は、 後工程(施工・試験・品質改善)への重要なインプットになります。
設計結果はどこへ引き渡されるのか
エリア設計・アンテナ設計の結果は、
- 図面
- 設計条件書
- パラメータ設計資料
といった形で整理され、
- 施工担当(J1)
- 試験担当(J4)
へ引き渡されます。
このため、 「自分以外の人が見て理解できる資料を作る力」 も重要になります。
この業務で身につくスキルとキャリア
エリア設計・アンテナ設計を経験すると、
- 無線の基礎〜応用知識
- 電波伝搬の理解
- 設計根拠を説明する力
が身につきます。
これらは、
- 無線設計の上位設計
- 品質改善(J7)
- PM/PMO(J8)
へ進む際の強力な武器になります。
どんな人に向いているか
- 電波・無線が好きな人
- 机上検討と現場結果を結びつけたい人
- 「なぜこの設計なのか」を説明するのが苦でない人
監視・保守経験を経て、 設計職へステップアップしたい人にも非常に向いています。
まとめ
エリア設計・アンテナ設計は、 無線設計エンジニアの中核となる業務です。
設計前提条件を正しく理解し、 適切なエリア・アンテナ設計を行うことで、 通信品質は大きく改善します。
移動体通信エンジニアとして、 設計職・経験者向け求人を目指す方にとって、 避けて通れない重要な工程と言えるでしょう。